吉祥文様で子の健やかな成長を祈願するお宮参りの「初着(産着)」の選び方

子供を授かったお礼と、健やかな成長を神さまに祈願する「お宮参り」。その神前に立つ際の子供の正装が、初着(産着)と呼ばれる着物です。この大切な儀式にぴったりな初着(産着)の選び方を、京友禅の老舗・千總がご案内します。
子供を授かったお礼と、健やかな成長を神さまに祈願する「お宮参り」。その神前に立つ際の子供の正装が、初着(産着)と呼ばれる着物です。この大切な儀式にぴったりな初着(産着)の選び方を、京友禅の老舗・千總がご案内します。
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大切な日には幸せとともに着物を身にまとっていただきたい。
創業から460余年、千總の長い歴史の中で洗練された意匠美と、高度な染織技術の粋を集め、
人生の節目を祝う晴着や格式のある正装、日常を華やかに彩る着物をお届けします。

お宮参りとは

お宮参りとは、生後1ヵ月頃を目安に、子供が生まれて初めて産土神に参拝し、子供を授かったお礼と、その健やかな成長とご加護を祈願する儀式のことです。
初宮詣で(はつみやもうで)や、初宮参り(はつみやまいり)とも呼ばれます。
赤ちゃんが生まれてから最初に迎える大きな行事でもあるので、お宮参りの初着姿を撮影されるとご家族の記念になります。

※うぶすながみ。生まれた土地の守り神(氏神・うじがみ)様

初着(産着)とは

初着(うぶぎ)とは、お宮参りで神前に立ち、お祈りするためにお子さまが初めて着る正装の着物です。
産着(うぶぎ)、祝着(のしめ)、祝い着(いわいぎ)、掛着・掛け着(かけぎ)とも呼ばれます。
特にお宮参りでは、おめでたい『吉祥文様』をあしらった初着(産着)が選ばれてきました。
また、初着(産着)はお宮参りだけでなく、子供時代のイベントで大活躍する着物です。
お食い初め・百日(ももか)祝い・ハーフバースデー・初節句・ファーストバースデーなどのお祝いごとにも着用でき、女の子なら三歳の七五三詣でのために仕立て直して着用することもできます。

初着(産着)には『吉祥文様』

日本の長い歴史のなかで、着物の意匠や文様・モチーフは、そうした人々の願いや祈りをこめた神さまへのメッセージとして大切に扱われてきました。
なかでも、『吉祥文様』は格別です。

現代ほど科学技術が発達していなかった時代、出産や乳幼児の成長には困難がつきものでした。そのため、子供が産まれて初めて神前に立つお宮参りはより切実な祈りの場であり、その際に着用する初着(産着)にも子供に対する親の願いをこめて文様を表しました。優しい子に、美しい子に、勇ましい子に育ちますように。招福、健康長寿、良縁、富貴など多くの幸せが訪れますように。
こうしてお宮参りの初着(産着)には、健やかな成長を強く祈願するためにこの『吉祥文様』を表すのが伝統となりました。祈りと願いをこめた正装で神前に立つ。お宮参りにぴったりなのは、そんな吉祥文様が入った初着(産着)です。

吉祥文様の題材は、植物・動物・器物などがあります。それぞれの文様の意味を知り、祈りをこめて選ぶことができれば、着物やそれを装い迎える儀式やイベントもより特別なものになるでしょう。

初着(産着)の代表的な吉祥文様

男の子

ふるくから、男の子の初着(産着)には名字や屋号にちなんだモチーフや、「たくましく将来立身出世しますように」という願いをこめて、「鷹」や「兜」のような力強いものが多く描かれてきました。
一方、近年では、男子としてのたくましさだけでなく、「宝尽くし文様」や「鶴の丸」のような「富を授かり幸せに」という男女に共通した願いをこめた意匠が選ばれることが増え、黒や紺のような濃い色だけでなく水色などの地色もみられるようになりました。

  • 宝船

    「宝船」

  • 鷹

    「鷹」

  • 兜

    「兜」

女の子

女の子の初着(産着)には、振袖にも使われるような優雅な模様に加えて、
子供のきものならではの愛らしい模様に祈りを重ねた吉祥文様も多く用いられます。
三歳の七五三詣での際に初着(産着)を仕立て直して着ることもあります。

  • 熨斗(のし)

    「熨斗(のし)」

  • 手まり

    「手まり」

  • 薬玉(くすだま)

    「薬玉(くすだま)」

願いをとどける千總の初着(産着)

千總は、1555年に京都烏丸三条で創業。
法衣装束商としてスタートしてから460余年、「儀礼」のための装束や着物を作り続けてきた着物の老舗ブランドです。明治時代には、さまざまな革新的な試みを通じて友禅染の新時代を築き、美術染織品のパイオニアとして宮内省御用達に。
美をひとすじに追い求め創造した着物は、たくさんの人生に寄り添い、特別なひとときを華やかに彩ってきました。

友禅染は、元禄時代(1688~1704年)に京都を中心に発展した染色技法のひとつで、なかでも京都でつくられる友禅染のことを京友禅と呼びます。
友禅染の最大の特徴はその「表現力」。絵を描くように模様を染められるこの技法により、それまでの着物とは比較にならないほど精緻で自由度が高いデザインが可能になり、着物の文様表現の幅を大きく広げました。

友禅染と共に長く歩んできた千總のものづくりは、この友禅染の考案段階から仕上がりまで30以上もの工程に関わる多くの職人の手仕事によって支えられています。
初着(産着)も例外ではありません。その製作工程を担う職人ひとりひとりの手によって、文様やデザイン、意匠のすべてに着物をまとう子供の未来に幸いが訪れるよう祈りをこめ、丁寧に仕上げられます。
幾多の職人の手作業と想いを経て、1枚の着物が作られています。

可愛らしさと、神前で厳かに儀式へ臨むにふさわしい品格。
ご家族の記念写真にも美しく映える柄付け。
伝統的でありながら現代的な美をあわせもつ、友禅染だからこそできる繊細なデザインが特徴です。ご家族の特別な一枚にする、名字や屋号にちなんだ文様でのおあつらえも承ります。
生地は、柔らかな絹100%。絹にやさしい国内の職人による手での上質な縫製でお客様へお届けしています。

千總の初着 男の子

ご紹介した吉祥文様が印象的な
初着(産着)をいくつかご紹介します。

松に波宝船
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松に波宝船

重厚感のある黒の地色に、荒波を超えていく宝船と松を描きました。
器物の吉祥文様のひとつ、七宝や七福神を乗せる「宝船」、福を運んでくるとされ、同じく吉祥文様の「松」は風雪にもめげず常に緑をたたえ、大木になることから長寿のしるしとされています。
お子さまの順風満帆なご成長を願った一枚です。

翔姿隆昌
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翔姿隆昌

大胆にデザインされた吉祥文様「束ね熨斗」に、勇壮な「鷹」を組み合わせました。
「鷹」は、「空高く飛び千里眼の眼光で狙いを定め鋭い爪で決して逃さない」といわれ、聡明さや幸運をつかむという願いがこめられた動物の吉祥文様のひとつ。
熨斗を束ねる形から人々との縁や絆を象徴する「束ね熨斗」と組み合わせることで、先の人生で人との繋がりに恵まれますようにとの願いがこめられています。

絢彩勇美
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絢彩勇美

深みのある美しい青の地色に、「兜」を大きく描き出しました。武家の家宝である「兜」は、器物の吉祥文様のひとつ。勇ましさを表し、身を守る要になるとして、邪気や災難から子供を守るといわれ、「元気で健康に育ちますように」という願いがこめられています。

初着(男の子)のラインナップを見る

千總の初着 女の子

ご紹介した吉祥文様が印象的な
初着(産着)をいくつかご紹介します。

熨斗
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熨斗

器物の吉祥文様のひとつ、「束ね熨斗」を伸びやかに描いた初着(産着)です。
多くの幸せを集めてくるという意味と、細く長い形から長寿を願う意味を持つ「束ね熨斗」。
輝く未来と健やかなご成長の祈りを込めた一枚です。

紐に手まり
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紐に手まり

女の子の初着で人気のある赤。古くから邪気を払ってくれる色でもあります。
女の子の遊び道具とされていた「手まり」が跳ねる愛らしいデザイン。器物の吉祥文様のひとつ、「手まり」は、長い糸から作られていることからご縁をつなぐという意味をもち、その丸い形には円満に人と仲良くという願いがこめられています。

薬玉流映
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薬玉流映

かわいらしいピンクの地色に、器物の吉祥文様のひとつ「薬玉(くすだま)」を色彩豊かに組み合わせてデザインしました。「薬玉」は、袋に菖蒲やよもぎの葉(くすり)を入れ、端午の節句に魔除けのため御簾(みす)や柱に飾られていたため、厄除けの象徴とされています。
祝賀に用いられることからも、生誕のよろこびと感謝を象徴し、花々にはこれからの人生の祝福がこめられています。

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    仕立て直しなども承っております。

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千總の初着(産着)は、お子さまのためのものでもあり、またご家族のものでもあります。
代々受け継いでこられた初着(産着)をお直ししたり、仕立て直して三歳のお参りにお召しになることもできます。
お子さまだけでなく、お孫さまやその先の代まで、ご愛用ください。

千總について

千總は、1555年の創業から永らく京友禅を手がけてまいりました。
着るひとの晴れの日を華やかに彩ることを願い、ひとつひとつ染めています。

伝統的な古典柄をベースに、デザインや色彩は新鮮な感覚で、現代を瑞々しく装う千總の着物。
装いながら次の世代に引き継いでゆく、かけがえのない家族の宝です。

千總の京友禅の製作工程を動画で公開しています

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