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2025年03月21日
千總が所蔵する屏風〈大津唐崎図〉が国指定の重要文化財へ
株式会社千總ホールディングスが所蔵する屏風〈大津唐崎図〉と〈梅図〉が、3月21日に開催された国の文化審議会の答申を受け、新たに重要文化財に指定されることとなりました。今後、官報告示を経て正式に指定されます。
今回の答申においては、本作が絵画の近代化を大きく進めた岸竹堂の代表作であり、西洋の動向を意識して描かれたことが明らかな最初期の万博出品作として歴史的価値も高く、明治時代を代表する作品として貴重である点が評価されました。
答申の詳細については、文化庁ホームページをご参照ください。
岸竹堂筆 屏風 八曲一双 絹本墨画淡彩 明治8(1875)年
岸竹堂筆 屏風 八曲一双 紙本墨画淡彩 明治8(1875)年
概要
岸竹堂(きしちくどう)(1826~97)は彦根出身の画家で、明治時代の京都画壇を代表する大家です。本作は千總の12代目当主・西村總左衛門により、1876年のアメリカ・フィラデルフィア万国博覧会に出品されました。近江の名所として古くから親しまれた琵琶湖周辺の景観を描くもので、西洋絵画や写真を連想させる空間表現に先駆性を示す岸竹堂の代表作として知られています。
弊社が所蔵する竹堂筆〈梅図〉は、現在は別の屏風に仕立てられていますが、当初〈大津唐崎図〉の裏面に表具されていたことが調査からわかっており、一体的な保護をはかる目的で附指定されました。
当該作品の関連情報
〈大津唐崎図〉本格解体修理
千總ホールディングスの関連団体である一般社団法人千總文化研究所によって、当該作品についての調査・研究が進められています。その一環として、千總文化研究所の監理のもと〈大津唐崎図〉の本格解体修理を2022年から2024年にかけて実施しました。
調査報告:https://icac.or.jp/public/7564/(千總文化研究所ホームページ内)
その他、株式会社千總ホールディングス所蔵の岸竹堂に関連する作品・資料
タイトルにリンクがあるものは、千總文化研究所ホームページの作品紹介ページにアクセスすることができます。
□絵画
〈猛虎図〉 六曲一双(1890)第3回内国勧業博覧会出品
〈月下猫児図〉 一幅(1896)第9回日本美術協会秋季展覧会出品
〈牛馬図〉 八曲一双(1895)※リンク先は右隻写真
□染織品
友禅裂〈孔雀に花〉 一幅(1874)
友禅裂〈雲波に龍〉 一幅(1890)
□美術染織品
〈月に髑髏 舞妓に桜〉 対幅(1890)
□下図
〈模本沈南蘋花鳥動物図〉 全13幅(1874~1878頃)
〈下図 虎と鷹図〉 一幅(1895頃)
〈岸印裾模様雛形〉 一冊(明治時代)
□その他
「米國万博出品写真集」
渡米前に撮影したと思われるアルバム。〈大津唐崎図〉および〈梅図〉の写真が綴じられている。撮影された作品の状態から、現存する保存箱の墨書とあわせて、〈大津唐崎図〉と〈梅図〉が表裏であったことを示す史料。